

2023年医療実績
はじめに
MLCでは開院の2005年度より毎年年報とWEBでの医療実績を公開しています。ここに2023年度(2023年5月~2023年4月末)の医療実績を公開します。
昨年2023年度は、MLC開院以来の最大変化がありました。それは2023年3月に電子カルテ導入により、外来・病棟の風景が一新されたことです。当初は混乱もあり、特に紙カルテしか使用歴のない小西の外来枠を半分以下に制限したため、2023年4月以降の新規妊婦患者さんの受診枠が数ヶ月ないという事態になり、結果として分娩予約数を大幅制限することになり大変ご迷惑をかけました。しかし、外来スタッフと医事課のおかげで秋からは枠をほぼ戻すことができました。
なかでも2022年度からの加藤麻酔科部長により最高のチームワークになった新MLC麻酔科チームにより、初産婦を制限も区別もしない完全麻酔科医による無痛分娩は飛躍的に増加し411人の方に提供できました。現在2024年度はこのWEBでの無痛分娩のページにも記す500名近くの方に提供できるまでになっています。また当日希望による無痛分娩も皆様に喜んでいただけています。この新麻酔科チームにより無痛分娩だけでなく、通常分娩や帝王切開の安全性も飛躍的に向上しました。また産前の不安への寄り添いとして専門医による胎児ドックや無痛分娩準備教室や産後ケアIrohaも大きく前進しました。
婦人科外来も、待ち時間のない箕面市子宮がん検診外来だけでなく、MLCは精密検査までも行える数少ないクリニックです。さらに寄り添い・向き合う婦人科を目指して、2024年7月にみのおキューズモール内に、MLCかやの分院婦人科をオープンし、多数の方に受診していただいています。結果、本院・かやの分院をあわせこれまで以上の婦人科患者さんにMLCの医療を提供できています。
今後も箕面市・池田市・豊中市をはじめ吹田市・茨木市など北摂エリアの全ての女性の方の 不安と痛みに寄り添うMLCに向けて1日1日積み重ねていきたいと思います。
文責 院長 小西光長
分娩統計
1.分娩数
冒頭に記しましたように電子カルテ導入により分娩制限の中でも2023年度は874分娩を提供できました。中でも無痛分娩は2022年に体制一新したMLC麻酔科チームの最高のチームワークにより過去最大の方に提供できました。今後も<ひととひとのつながり>をベースとした医療で、みなさまの大事な家族史の1ページを大切にお届けしたいと考えています。
- 分娩数 グラフ1
- 居住地域 グラフ2
無痛分娩の増加により、これまでの箕面市・池田市・豊中市だけでなく、吹田市・茨木市・伊丹市・川西市さらには大阪市からもお越しいただいております。これらの多くの地区は、箕面市彩都も含め、実は分娩や入院が多い夜間ならば車でわずか15分です。北摂地区以外の遠方の方の不安への寄り添いとして産前入院Early Stayも始めています。
MLC無痛分娩が、大阪府のクリニックで稀有な点は- 初産婦さんの制限も区別もしない
- 硬膜外カテーテル挿入から分娩終了までの麻酔管理を完全麻酔科医が行うことです。そしてこの安全の365日無痛分娩の提供と無痛分娩以外の方にも彼ら麻酔科チームが母体の救命や緊急帝王切開なども担当します。
- ご紹介患者数 グラフ3
実に34%の方が近隣の先生方からのご紹介でした。今後はMLCが信頼する先生方の産婦人科クリニックと地域連携グループを形成していきたいと考えています。
2.分娩全体概要
2023年度(874件) | ||||
年齢 | 出産回数 (今回含む) |
分娩週数 | 児の出生体重 | |
平均 | 32歳6ヶ月 | 1.83 | 39週3日 | 3070g |
---|---|---|---|---|
最小 | 19歳 | 1 | 35週6日 | 2074g |
最大 | 44歳 | 5 | 42週0日 | 4520g |
3.初産婦と経産婦の比較
人数 | 年齢 | 分娩週数 | 平均体重 | 分娩所要時間 (経膣分娩のみ) |
|
初産婦 | 397 45.4% |
31歳 2ヶ月 (19-44歳) |
39週5日 | 3067g | 12.5時間 (自然は12時間53分 / 無痛は12時間20分) |
---|---|---|---|---|---|
経産婦 | 477 54.6% |
33歳 5ヶ月 |
39週1日 | 3072g | 5.8時間 (自然は5時間30分 / 無痛は6時間18分) |
例年とほぼ同様の結果大きな違いはありません。分娩所要時間が初妊婦さん経産婦さんに関わらず自然分娩と無痛分娩に大きな差は認めませんでした。MLC麻酔科医によるきめ細やかな疼痛管理でリラックスできた結果と思います。現在、助産師による無痛準備教室と自然分娩準備教室でリラックスできる分娩をさらに進めています。
4.分娩様式

- 帝王切開について 帝王切開は121例(全体の13.8%)でした。19%前後と報告される全国平均に比較して極めて低率でした。医師、助産師、看護師、妊婦さんが一丸となって経腟分娩を目指した結果です。またMLCでは麻酔科医が安全への不安に寄り添う帝王切開の術中管理を目指します。
- 無痛分娩について⇒詳しくはこちら
2022年度は、加藤部長による新チーム体制になり、チーム力が格段に強化されました。結果、多くの皆様のご希望に安全に積極的に寄り添えるようになり、2023年度は411人の方にMLC完全麻酔科医無痛(硬膜外カテーテル挿入から麻酔薬投与と麻酔管理を分娩終了まで全て麻酔科医が行う、安心安全の365日無痛分娩の提供)を提供できました。2024年度現在はさらに500人近くの方に提供できる予定です。
結果、箕面市・池田市・豊中市・吹田市・茨木市などの近郊だけでなく、大阪市や伊丹・川西・宝塚市からもきていただいています。これは分娩場所として安全を重視されるご夫婦の熱い支持と産科医・麻酔科医・小児科医ほかスタッフ一同気を引き締めていきたいと考えています。
麻酔管理体制だけでないMLC無痛分娩の特徴は、完全麻酔科医による365日対応の計画無痛分娩と妊婦さんのご希望で開始できる当日無痛分娩というバリエーションの豊かさです。さらに、特筆すべきは、この麻酔科新チームだからこそ可能となることですが、MLC無痛は初産婦さんに対して受け入れ制限も費用の区別もしておらず、半数以上が初産婦さんである希有な施設です。ですが、帝王切開への移行が極めて低いことです。このことはMLC麻酔科医と産科医と助産師の連携だけでなく、何よりMLCとMCL妊婦さんとのつながりの結果と考えています。